今回紹介する文庫は、米澤穂信の「儚い羊たちの祝宴」です。
短編推理小説で各短編のラスト一文が衝撃的な作品。
上流階級のお嬢さまたちが集う読書サークル「バベルの会」にまつわる5つの事件が描かれています。
各話は独立しているのですが、各短編の中に「バベルの会」に関わりのある者が誰かしら登場しているのが特徴です。
特に「玉野五十鈴の誉れ」という短編には衝撃を受けました。
こんな人におすすめです。
・ミステリーが好きな人
・どんでん返しが好きな人
・文章の読みやすい本を探している人
作品情報
タイトル :「儚い羊たちの祝宴」
著者 :「米澤穂信」
カバー装画:「日月沙絵」
レーベル :「新潮文庫」
あらすじ
上流階級のお嬢さまたちが集う読書サークル「バベルの会」
この優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な5つの事件
毎年同じ日に親族が殺害される:『身内に不幸がありまして』
一枚の絵に隠された衝撃のメッセージ:『北の館の罪人』
山奥にある別荘の孤独な管理人:『山荘秘聞』
絶対権力者に抗う:『玉野五十鈴の誉れ』
「バベルの会」消滅とそれにいたる手記者の物語:『儚い羊たちの晩餐』
邪悪な5つの殺人事件の最後に明かされたのは、残酷なまでの真実だった。
おすすめポイント
1 衝撃のラスト
2 驚愕の犯行動機
3 洗練された文章
衝撃のラスト
冒頭でも述べたように最後の一文が衝撃的でした。
衝撃的過ぎて各短編を読み終わると、しばらくページをめくる手がフリーズしてしまいました。
「え! ああ! おお! そういうことか! すげえ! うわあああ! なにこれ! すごい!」
といった感じで一気に驚きの感情が押し寄せてくる感じです。
各短編は独立していますが、読む順番は最初の短編から順番に読むことをおすすめします。
理由は、途中の短編から読むとなると前の短編の最後の一文が見えてしまうからです。
これが見えてしまうとすごさが半減してしまいます。1ページ目から順番に読むことをおすすめします。それだけラストが凄い作品なのです。
驚愕の犯行動機
5つの短編で起こる事件というのは全て殺人事件です。
その殺人事件の犯行動機がとんでもないのです。
常人では考えられないような思考回路を持った人物たちが巧みに描かれているところもポイントです。
犯人の思考に狂気がにじみ出ているところが、より一層邪悪さを感じさせるのです。
洗練された文章
著者の米澤穂信さんの作品全般に言えることだと思うのですが
文章に無駄がないので、すごく読みやいのです。
磨きに磨き抜かれ、余計な部分が削ぎ落された美しくわかりやすい文章なので、
読みやすく、物語の世界にするりと入れるのです。
私はこの文体がすごく好きです。
魅力成分
本作の魅力はなんといってもストーリーです。
衝撃のラストを衝撃たらしめるためには序盤中盤のストーリーが物凄く重要ですが、
するりと物語に入り込める序盤。導入から終盤へと導く飽きさせない中盤。そして衝撃の終盤。
この一連の物語展開が短編として5つ続けてあるのですから驚きです。
さらに洗練された文章によって書かれているので読みやすいのです。
登場人物たちの特徴を生かし、その人物特有の”悩み”や”思考”を鮮やかに描いているところもポイントです。
まとめ
非常に読みやすく、衝撃的な暗黒ミステリ―です。
私の中ではすごく好きな作品です。
もっともっとたくさんの方に知っていただきたい、読んでもらいたい作品です。
ミステリーやどんでん返しが好きな方にはおすすめです。
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